色を奏でる |
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| 染色家が書いた色についての本です。
志村ふくみさんは、植物染料による染色で機を織り重要無形文化財保持者に認定された人です。
私は布を色いろと使うので、色にもとても興味があります。そして、植物染料も好きです。
ちょっと話しが飛びますが、私の育った家の最寄駅は有松です。
絞りで有名な、有松です。
社会見学で絞り工房に行って、糸を繰くるのを見た思い出もあります。
有松に流れる小川が藍色に染まっていたことも、印象深いです。(今は小川はコンクリートの下になって見えませんが。)
絞りの藍色は不思議です。
まず色あせがあまりないし、とっても丈夫です。母が夏になると絞りの羽織を着ているのですが、染めたところは破れない。
絞って染まらない白いところから、破れてくるのです。
何度も補修しても、やはり染めていないところから敗れる・・・。
藍色が強いのかな。それとも絞った所が弱いとか?
事あるごとに思い出しては考えていましたが、この本を読んで得心。
やはり植物染料が強いのです。
植物で染めると脱色もできないらしいです。化学染料ならできても、自然のものはできない。
植物染料はとっても優しい色合いなのに、強い。
実は、桜の色は花びらからではなくて、桜の木肌から染めるのです。
しかも花が咲く直前の木肌を剥がして・・・。(ちょっとかわいそうだけど、でもその時期でないと桜色にはならない)
桜のあの色が、木自体に満ちている。
そう知ってからは冬の桜の木を見ても、桜色が感じられるような気がします。
最後にこの本を通して語られているのが、
「 仕事が仕事をする 」
ということ。
作者は40年間、非常な努力をされて、
「 何度も何度も同じことを繰り返し、体の中に染み込ませ、手順を考えることなくし続ける・・・、そういう状態になったときにおのずから仕事が仕事をしている。 」
と語っています。
人間と仕事がいつのまにか一体になっていると。
すごい境地かも。
私はまだまだ。本当にまだまだ。全然まだだけど。
でもそういう仕事をしたいです。
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1月23日(水)06:17 | トラックバック(0) | コメント(0) | 読んだ本 | 管理
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